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さて、その年の夏の出来事について書こう。愛美ちゃんの家族とうちの家族とい
っしょに泊りがけで海水浴に行った。浜O湖の弁O島というところだ。
中学二年生の愛美ちゃんの水着姿は、眩しかった。ピチピチして引き締まってい
た彼女の肢体は、俺の目を釘付けにした。彼女の大きなオッパイを包むが競泳タ
イプのワンピースのがきつそうだった。ハイレグカットのから伸びた足が魅力的
だった。裸の彼女を見慣れている自分でも魅了された。
俺たちは、遠浅になったところをずっと沖の方まで行ってでふざけていた。親た
ちは、砂浜にすわり、まだ小学生の俺の弟と愛美ちゃんの妹は波打ち際で遊んで
いた。どこまで行っても水は俺たちの胸ぐらいの深さだった。
親たちが豆粒のように見えるとこまで来ると俺たちは、キスをした。俺の口の中
に愛美ちゃんのしたがニュルーと入ってきた。俺も負けじと愛美ちゃんの口の中
に舌を入れた。海の水がついて塩辛かった。あっという間に俺の股間はパンパン
に膨らんで海水パンツの前を押し上げた。
愛美ちゃんは俺の手を取ると、自分の胸に持っていった。俺は、彼女が水着に着
替えてから、ずっとそのゴムまりのような膨らみに触りたくてしょうがなかった。
ぴっちりした水着に包まれたその膨らみは弾力性があって柔らかかった。
彼女の息遣いが荒くなるのがわかった。俺も心臓がドキドキするのがわかった。
彼女は自分から、肩紐をはずして大きなオッパイを引っ張り出した。俺はすかさ
ず、生のオッパイを揉んだり撫でたりした。相変わらず、柔らかくて気持がよか
った。
彼女は「あはーん、ハァ、ハァ」と悩ましい声をだして喘ぎながら、俺の股間に
手を伸ばしてきた。俺のオチンチンは完全に上を向いて、カチコチになっていた。
彼女は海水パンツの中に手を入れると、俺のオチンチンを弄んだ。
俺は早く彼女の中に入れたい衝動にかられた。でも二人とも海の中だ。つかまる
ところもないし、寝転ぶわけにもいかないし、どうしようもなかった。近くに境
界線を示すブイがぷかぷかと波に揺れているだけでつかまれるようなものは何も
なかった。
愛美ちゃんも我慢できなくなったようで、「リョウ君、入れて」と催促してきた。
俺がどうしようかと考える間もなく彼女は俺の首に手を回して俺に飛びついてき
た。彼女は足を俺の腰の周りに回すと自分の股間を俺の固くなった棒の上にグイ
グイ押し付けてきた。いわゆる、駅弁スタイルだ。海水の中で彼女は軽かった。
俺たちはまたキスをした。彼女は、「ねえ、早く入れて」とまた催促して来た。
俺は海水パンツを下ろして海水の中でオチンチンを自由にした。それから彼女の
水着のまたの部分をめくった。水中でも、そこがヌルヌルになっているのがわか
った。俺は、オチンチンを彼女の股間に持っていくと、入り口に押し当てた。彼
女は自分から腰をずらして、オチンチンを体内に導きいれた。「あーん」と気持
よさそうな声を上げた。俺たちは海の中でゆっくり揺れた。ぬるま湯のような水
が気持ちよかった。時々波が通るたびにあがっては下がる水面にあわせて俺たち
も動いた。俺たちは幸せだった。そうやって、密かに水面下ではめている間にも、
知らない人たちが近くに泳いできたりしてたけど、俺たちは、気にしないでエッ
チを続けた。絶対に見えていないと思ってもドキドキした。そのうち、愛美ちゃ
んは、「リョウくーん」といって俺にしがみついて、いってしまった。彼女の下
半身がギュウギュウと俺のオチンチンを締め付けてきた。俺も我慢できなくなっ
て彼女の体内に思いっきり放出した。
俺たちのグラフによると、その日は、安全日だった。しばらく俺たちはそのまま
波と一緒に漂っていた。俺が彼女の中から引き抜くと、例によって、白い鼻水の
ような精子がプカプカと浮かんだ。俺たちは、一緒に笑った。俺たちのすぐ横で
ブイが上下に揺れていた。
それからの数ヶ月の間、俺たちはまさに幸せの絶頂だった。毎日が楽しかった。
俺は愛美ちゃんがいるから、生きているんだと思った。彼女も多分同じ気持だっ
たに違いない。
俺は、毎朝自転車で愛美ちゃんの家まで彼女を迎えにいった。そこから、彼女と
2人で手を繋いで仲良く歩いて登校した。俺たちの中は学校でも有名だった。で
も流石に中学生ともなると、誰もからかう者はいなかった。そしてどちらかとい
うとみんな羨望の眼差しで俺たちを見た。学校の近所に住む全然知らないおばさ
んまで俺たちの事をしっていて、たまに何かの理由で俺が1人であるいていると、
「あんた彼女はどうしだだい?」と聞かれた。
俺たちは、学校では、昼休みには放送室にいったり、そうでない時は、体育館や、
屋上に上って、そこで逢引をした。ある時は唯々ふざけあった。ある時は、クラ
スメートの悪口を言い合った。またある時は、将来を語り合った。そして、チャ
ンスがあれば、エッチをした。
あるとき、体育館の跳び箱などの器具をしまってある場所にはいって、跳び箱と
跳び箱の間に座って二人で話をしていた。そうしたら、ガラガラと戸があいて、
他の生徒が入ってきた。俺たちは、息を潜めていたら、どうも、カップルのよう
で、男女の話し声が聞こえてきた。俺たちがいるのに気がつかずに、なんかエッ
チな事を始めたようで、女の子のエロっぽい喘ぎ声が聞こえ始めた。
俺たちはそうなったら、出て行くわけに行かず、そのまま潜んでいたのだけど、
あまりにも声がエッチで、自分達も我慢できなくなって、エッチをして始めてし
まった。そうしたら、愛美ちゃんの声が大きかったのか物音がしたのか、そのカ
ップルが、他に人がいるのに気がついて、あわてて出て行ってしまった。
顔をみるチャンスが無かったので結局誰だったかわからずじまいだったが、少な
くとも俺たちのほかにも似たような事をやってるカップルがもう一つあったとい
うことがわかった。
冬が近づくと、俺はいちおう受験勉強というものを始めた。その地区は、高校受
験は殆ど内申書でだいたい決まるといわれていたが、それでも、入試の点数が悪
かったらいいところには入れない。俺は、先生と親と話し合って、近所の県立の
進学校と、滑り止めにちょとお離れた場所にある私立の進学校の二つを受ける事
にした。
俺の勉強の邪魔をしないようにと、愛美ちゃんは、自分も勉強道具をもって遊び
に来た。それでは、勉強にならなかっただろうと思うかもしれないが、結構それ
でも勉強がはかどった。
県立高校は、うちから中学校に通う途中にあった。だからそこへ行けばいままで
どおり毎日愛美ちゃんと通うことができた。でも私立高校は、電車を乗り継いで
1時間ぐらいかかった。だから、県立高校に行けなければ、愛美ちゃんと会える
時間が減ってしまうと思うと、俄然やる気が出てきた。
愛美ちゃんも応援してくれた。俺が数学の問題を解いている間に英語の単語カー
ドを作ってくれて単語を覚える手伝いまでしてくれた。彼女にとっても俺が県立
に入れるかどうかは大問題だった。俺が県立にいって、次の年に彼女が入るとい
うのが俺たちの計画だった。
冬になると、彼女は、俺が風邪を引かないようにと襟巻きを編んでくれた。毎日
毎日俺が勉強する脇で編み棒を動かしていた。クリスマスの頃には、おそろいの
赤と紺色の可愛い襟巻きができた。俺たちはどこに行くのもそれを首に巻いてい
った。
愛美ちゃんは、本当にいい子だった。小学生の頃は親に隠れていろいろと悪い事
をしたけど、基本的に素直でいい子だった。中学生になってから、益々いい子ぶ
りを発揮して、俺の母親からいつも褒められていた。
愛美ちゃんと仲直りしてから、殆ど毎日のように愛美ちゃんは俺のうちに来てい
たから、殆どうちの子同然のようになっていた。母親が晩御飯を作るのを手伝っ
た。食器の片付けも手伝った。母親がいつも「女の子は、お手伝いしてくれるか
らいいわね、うちも女の子がいればよかったわ」と口癖のように言った。「でも、
愛美ちゃんいつもお母さんの手伝いしてるからいいじゃん」、と俺は密かに思っ
ていた。
俺は、10時頃になると、愛美ちゃんを自転車の後ろに乗っけて送っていった。
彼女の家はすぐ近くだった。俺たちは、名残惜しんで、寒いのにも拘らず、玄関
の外で立って話した。そして物陰でしばらく抱き合ってキスをした。そしてお休
みを言って別かれた。気温がどんなに低くても、愛美ちゃんの襟巻きで包まれた
首と、心の中だけは寒くなることは絶対無かった。
二学期からは、愛美ちゃんの家族が新しくて広い家に移ったので、俺はよく勉強
道具を持って泊まりに行った。ここでも俺は家族同然の扱いで、お風呂はもちろ
んのこと、寝るのも愛美ちゃんと一緒だった。
愛美ちゃんの部屋は2階にあった。隣は小学校3,4年生の妹の部屋だった。愛
美ちゃんの部屋はベッドが置いてあったが、俺が行くと、お母さんが、俺達のた
めに布団を二つ出して並べて敷いてくれた。俺たちは、パジャマに着替えて歯を
磨いて愛美ちゃんの両親に「おやすみなさい」といって、部屋に入って2人きり
になると、思う存分エッチをした。
その頃は以前みたいにのべつ幕なしじゃなかったから、夜になるのが楽しみだっ
た。俺達は基礎体温グラフを見ながら、ちゃんとコンドームを使った。そのあた
り今考えても我ながらしっかりした中学生だと思う。確かに基礎体温法は完璧で
はないかもしれないが、それで危険日以外は必ず中だししてたにも拘らず一度も
妊娠しなかった。
俺たちがエッチしていたのは奇跡的にどちらの親にも気がつかれなかった。直接
たずねたことはないが、もし気がついていたら、いくらなんでもなにか言っただ
ろう。ところが、一度だけ、彼女の妹に見られたことがあった。
俺たちが部屋に入って、始めたところだった。愛美ちゃんが俺の上に乗っかって
喘いでいたら、部屋の入り口がバッとあいて、妹が「お姉ちゃん・・」といって
入ってきた。なにか用事があったのだろう。彼女の親が来る時は、階段を上って
くる音が聞こえるのでさっと布団の中にはいってしまえばよかった。それにいっ
たん「おやすみなさい」をした後は、部屋に来ることはめったに無かった。でも、
妹は隣の部屋だったから全然気がつかなかった。
愛美ちゃんは一瞬止まってから慌ててばたばたと布団の中にもぐりこんだ。妹さ
んは、何も言わないで行ってしまった。俺たちは、そのあと、おかしくなってク
スクス笑ってしまった。そして、どうせあの子には何してたかわからなかったよ、
という事にした。
でも考えたら、俺たちが始めてエッチをしたのはそのくらいの年齢だった。後日
大人になってから愛美ちゃんの妹さんと話していて、話題がその事に及んだとき、
彼女は、ちゃんとその時の事を覚えていた。でもそのときは何をしているのかわ
からなかったそうだ。ただ愛美ちゃんが俺の上にのっかて遊んでるとおもったそ
うだ。
さて、3学期にはいって、いよいよ受験が近づいた。愛美ちゃんは色んな事をし
てくれた。俺のうちで、アップルパイを焼いてくれたこともあった。ケーキを作
って、合格ケーキといって、上に「合格」って字を書いてくれた。
でもじつは状況はあまり芳しくなかった。学校の先生から内申点がちょっと足り
なくて危ないといわれた。入試でかなり頑張らないと難しいかもしれないといわ
れた。俺はその事を愛美ちゃんに告げた。彼女は意外と明るく、「大丈夫だよ、
リョウ君は、かしこいから」といっていた。
試験の数日前から俺たちは気を引き締めるために、禁欲生活を始めた。
愛美ちゃんは
「わかった?今日から無しだよ」といった。
「そんな・・・」と俺。
「試験がうまく行ったら、私の体がご褒美だからね」と愛美ちゃん。
「じゃあうまくいかなかったら?」と俺がいうと、
「もう一生エッチできないね」という。俺がすねた顔をして、、
「いいよ、誰か他の子とするから」といったら、
「こいつー」といいながら俺をこちょこちょとくすぐった。
「きゃっはっはっはっ、わかった、わかった、他の子としない」といっても、
彼女は
「許さねー」といってさらに、こちょこちょ。
俺は、「そっちがそう出るなら、仕方ない」といって、ぎゅうっと彼女を抱きし
めて口を口をふさぐ、彼女は反射的に俺の口に舌を差し込んで俺の舌に絡めてく
る。1,2分そうやってキスをしたあと、
「プふぁー、はぁはぁはぁ、どうだ分かったか」と俺がいうと、
「わかった許してあげる」と彼女。
こんな感じで俺たちはじゃれあった。
試験の当日、おれは愛美ちゃんはキスで見送ってくれた。
俺はあまり自信が無かったが、「よし、がんばるぞ」といって出かけた。
試験は感触は悪くなかった。でも点数が足りるかどうかはわからなかった。
その日の夜、彼女と一週間ぶりにエッチをした。俺は、彼女に、あんまりよくな
かったかもしれない、と正直に言ったが、彼女は、「いいよ。よく頑張ったから、
ご褒美あげる」といって、上を脱いでオッパイをむき出しにして俺の膝の上に座
った。そういうときの彼女はこの上なく可愛いかった。彼女は俺の顔にオッパイ
を押し付けた。俺は試験が終わった開放感から、彼女を思う存分味わった。
試験の結果が来た。だめだった。俺たちは結局4月からまた別れ別れにならなけ
ればならなくなった。でもこの世の終わりではなかった。一緒に通学できないと
いうのと、会える時間が2,3時間減るというだけの話だった。愛美ちゃんもそ
の悪い知らせを、明るく受け入れた。「いいじゃん、別に会えなくなる訳じゃな
いし、休みの日にはまた泊まればいいし」といってニッコリした。
でもこれがとんでもない間違えだった事にその時点では気づきようも無かった。
4月にはいって俺たちは別々の学校にいった。週日はなんだかんだ、忙しくてあ
えない日さえあった。でもその代わり休みの日はお互いの家にに泊まりにいって
一日中べったりした。だから2人は十分幸せだった。俺たちは、会うと、学校の
ことやら、将来のことやらを話し続けた。俺たちは、年取って死ぬまでの人生設
計ができた。でもそんな幸せな日々も長続きしなかった。俺たちは運命の女神の
残酷な仕打ちをまたぞろ経験する事になるのだ。
あれは、5月半ば過ぎのある日、俺たちは愛美ちゃんのお母さんの誕生日プレゼ
ントを買いに行った。このときのことは俺は一生忘れることができないだろう。
俺たちはあるデパートの食器売り場を見ていた。いろんな形や柄の食器が所狭し
と並んでいた。俺たちは、真っ白い食器がならんでいる棚なの前に立っていた、
彼女は俺の腕のを両手で掴んで俺にしなだれかかるようにして、
「ねえねえ、わたしの夢聞いて」といった。
「いいよ、なあに?」と俺。彼女は
「私ね、結婚したらね、こういう真っ白な食器をそろえるの」とうっとりした表
情でいった。俺が
「真っ白の食器じゃ詰まんないじゃん」というと、
「だめ、真っ白じゃなきゃだめなの」といった。
「そうじゃないと、料理の色が綺麗にみえないでしょ」
「そうかな」
「うん、そいで、リョウ君においしい物作ってあげるの」と嬉しそうにいった。
「なに作ってくれるの」
「うーん、リョウ君のすきなカレーと・・」
「ああ、おいしそう」
「あと、リョウ君の好きな餃子と・・・」
「ああ、おなかすいてきちゃった」
「あとリョウ君の好きなグラタン」
「ああ、食べたいね」と俺がいうと、愛美ちゃんは
「うん、ねー、いいでしょう?」といって俺の腕をさすった。それから彼女は
「ねえ、白い食器買ってくれるでしょ?」といって、俺の肩に頬を乗っけた。
おれは、
「うん、じゃあ結婚したらまず最初に白い食器を買おう」といった。彼女は嬉し
そうにニッコリ笑うと、
「リョウ君大好き」といって、彼女は俺のほっぺたにキスをした。
俺はこんな、ささやかな事を「夢」といって嬉しそうに話す愛美ちゃんが、愛お
しいくて仕方なかった。同時にこの上なく幸せな気持になった。
このときの彼女の笑顔は俺の脳裏に今でもしっかり焼き付いている。これが俺が
覚えている愛美ちゃんの最後の笑顔だった。
この次の日、彼女は大型トラックにはねられて、帰らぬ人になった。1人で下校
の途中だった。
その日、学校から帰ると、俺の母親が険しい顔をして、玄関で待ち構えていた。
「愛美ちゃんが大変なことになっちゃったの」
おれは彼女の言うことが最初わからなかった。それから、2人で病院まで駆けつ
けた。案内された病室のベッドによこたわる愛美ちゃんには既に息がなかった。
彼女の傍らで彼女の母親が泣きじゃくっていた。反対側には彼女の父親がうなだ
れていた。横には彼女の妹がぼーとして立っていた。
愛美ちゃんは、多少むくんだような顔をしていたが、すやすやと寝ているように
みえた。俺は最初わけが分からず、「愛美ちゃん」と呼んだ。彼女は何も言わな
かった。触ると皮膚がひんやりと冷たかった。今にも目を開けて「リョウ君、お
はよう」って言ってキスをしてきそうに見えた。俺はもう一回「愛美ちゃん」と
呼びかけた。でも彼女は目を開けなかった。
俺には信じられなかった。つい昨日まで「リョウ君においしい物つくってあげる
の」って嬉しそうにいった愛美ちゃんが冷たくなって息をしていないという現実
を受け入れることができなかった。俺は、でも、それが変えようの無い現実なの
だと言う事に気がついたとたん、俺の両目から滝のように涙がこぼれ落ちた。
俺は大声を上げて泣いた。
「愛美ちゃん、なんで?なんで?なんでなの?」とやりどころの無い気持を、声
に出して泣いた。冷たい愛美ちゃんの亡骸の上に覆いかぶさるようにして泣いた。
泣いたからといって愛美ちゃんが帰ってくるわけではなかったけど、どうしよう
もなかった。
俺は「愛美ちゃん、僕と結婚するって言ったじゃん」といって泣きじゃくった。
「白い食器、買ってあげるってって言ったじゃん」といって泣きじゃくった。
俺は「愛美ちゃん、俺とおじいさんとおばあさんになるまで一緒だって言ったじ
ゃん」と言ってさらに泣きじゃくった。
「どうして?、どうしてだよう?なんで死んじゃうんだよう」俺は泣いて泣いて
泣きつかれて涙腺が乾ききるまで泣いた。その間、愛美ちゃんのお母さんと自分
の母親が俺を交互に抱きしめてくれていた。
俺が、県立高校に受かっていれば、愛美ちゃんは多分死んでいなかっただろう。
俺たちはいつも回り道をして大通りを避けて歩いていた。ところが、彼女が轢か
れた場所は最短距離の大通りを渡る道だった。俺が県立高校に受かっていたら、
あんな危ない場所は彼女は歩いていなかっただろう。そう思うと悔やんでも悔や
みきれなかった。
お葬式が終わった後、俺は、彼女の襟巻きを形見にもらった。彼女が自分で編ん
だ俺とお揃いのやつだ。俺はそれと、愛美ちゃんがくれた自分の襟巻きを、机の
上に並べて置いた。それを見ていると、俺の頭の中に、おそろいの襟巻きをして
歩いている自分と愛美ちゃんの姿が目に浮かんだ。俺はふと思いついたように2
本の襟巻きを結んでみた。おそろいの襟巻きをした愛美ちゃんは嬉しそうに笑っ
た。俺は結んだままの襟巻きを畳んで引き出しにしまった。こうしておいたら、
俺たちは永遠に繋がったまでいられるような気がした。
今でも時々彼女を思い出して寂しくなると、その結んだままの襟巻きを取り出し
て頬にあてて見る。そうすると、彼女の元気な声が聞こえてくるような気がする。
おれは1人、彼女に向かって話しかけてみる。
「いいよ、真っ白な食器を買ってあげるよ」って。
愛美ちゃんが嬉しそうに微笑みかえしてきた。